無題――フーヘルに
雨と青臭い曼珠沙華の匂いがして
僕は僕の黴臭い玄室の扉を鎖じかけた
すると その軋んだいやな音とともに
僕の親しい死者たちが悉く蘇る
干乾びた 柳の枝に串刺しの
早贄の蛙が
一声 高く
啼いた――
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雨と青臭い曼珠沙華の匂いがして
僕は僕の黴臭い玄室の扉を鎖じかけた
すると その軋んだいやな音とともに
僕の親しい死者たちが悉く蘇る
干乾びた 柳の枝に串刺しの
早贄の蛙が
一声 高く
啼いた――