禁斷の花 室生犀星
ひと妻を美(は)しと思はば
もはやをとめごに心走らすこともなし
かかるときも軈(やが)て君にきたらむ、
かくいへる友の
さぶしき顏目にうかびたり
されどそはまことのひびきあり
ひとのもちものの
及びがたく艷(なま)めき
﨟(らふ)たげにうつくしく
花のなやめるごとき……。
ひと妻を戀はんとするを罪とがとする、
荒き掟(おきて)ある世は寂しきかな。
(「忘春詩集」より)
*
この「かくいへる友」とは……恐らく芥川龍之介である……
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ひと妻を美(は)しと思はば
もはやをとめごに心走らすこともなし
かかるときも軈(やが)て君にきたらむ、
かくいへる友の
さぶしき顏目にうかびたり
されどそはまことのひびきあり
ひとのもちものの
及びがたく艷(なま)めき
﨟(らふ)たげにうつくしく
花のなやめるごとき……。
ひと妻を戀はんとするを罪とがとする、
荒き掟(おきて)ある世は寂しきかな。
(「忘春詩集」より)
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この「かくいへる友」とは……恐らく芥川龍之介である……