鈴木しづ子 二十七歳 昭和21(1946)年 川村蘭太氏新発見句2句追加
ぬれあがる葉あかり引くや夕夜
秋さだか兩の睫毛はしとりけり
(「小徑」昭和21(1946)年7・8・9・10・11・12月合併号)
一句目の「夕夜」は「ゆふべよる」と読ませるか。見かけない語であるが、夕暮から夜への時間的経過を表現するものととれば違和感を僕は感じない。句柄も静謐で悪くない。二句目もいい。「しとりけり」は「湿とりけり」の謂い。――実はこの二句は底本である「全句」には所収されていない。僕は本選句を行うに当たって、まず底本とした「全句」を鑑賞し、その後に本文「しづ子 娼婦と呼ばれた俳人を追って」の当該年に当たるパートを読むようにした。これは川村氏の鑑賞に僕の選句が左右されないようにするためである。僕は飽くまで僕の感性と解釈で詠み進めたいと思ったからである。ところが、そうやって読み進めたところ、この句にぶつかった。川村氏が何故、この二句を「全句」に入れなかったのかは分からないが、叙述によれば、これは確かに彼女の句である。川村氏がこれを発見した経緯と、驚きのしづ子の定型詩、その男性名で書かれた詩がしづ子の作品であることを明かした卓抜な推理は、同書138ページ以降の『幻の詩句集「小径」』をお読み頂きたい。
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