鈴木しづ子 三十二歳 『樹海』昭和二十七(一九五二)年四月号掲載句全十一句
昭和二十七(一九五二)年三月四日附句稿及び三月五日附句稿を元にして選句された『樹海』昭和二十七(一九五二)年四月号掲載句全十一句を掲げておく。珍しく私の撰とかなりダブった(参考までに私の選んだ句の下に〇を附した)。
〇春愁の紙風船に息を詰め
〇火めぐりの灰を馴らしてたゞそれのみ
〇日永さの目立つばかりのなんてん葉
〇空箱に絲など容れて春めくか
啓蟄の藪を透して見るひかり
〇くりかへす子をとろ遊び夏はじめ
やすかれと希ふばかりの霧笛かな
踏めば消ゆむかしの都の奈良の雪
〇仲良しになつて夕燒け濃かりけり
手をのべてスタンド燈す黄水仙
〇蟬しぐれ人を追ひ死すこともある
「踏めば消ゆ」と「仲良しに」の句は三月五日附句稿から。それ以外はその前の三月四日附句稿に基づく。なお、これ以降の『樹海』の掲載句には、これ以前の句稿からの採録がしばしば見られる。
« 鈴木しづ子 三十二歳 昭和二十七(一九五二)年三月五日附句稿二百十六句より七句 | トップページ | 新編鎌倉志卷之六 極樂寺 忍性菩薩行状畧頌 テクスト化突入 »