鈴木しづ子 三十二歳 昭和二十七(一九五二)年二月五日附句稿百五句より (3) 二句
もつとも奥營倉置くや冬めく葉
衛兵のマフラの白さ距て見る
これは昔、同棲していたケリーとの追想吟か。ケリーの朝鮮からの帰還後では季節が合わないし、こうしたことを体験する時間的余裕はなかったものと思われる。昔、何かの重い規律違反で営倉入りの懲罰を受けた彼に会いにゆき、基地でMPに拒絶された一コマか。若しくは、たまたま親しくなった当時のGIのエピソードででもあったのかも知れない。たった二句で物語を語る、しづ子の稀有の天分である。仮想の組み写真としても私は、書斎に飾りたいぐらい好きだ。
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