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2011/11/02

鈴木しづ子 三十二歳 昭和26(1951)年11月23日附句稿45句から13句及び「樹海」昭和27(1952)年1月号の発表句全5句

この昭和27(1952)年1月1日、随筆社より第二句集『指環』が刊行される。句稿から見る。

東京に來てすぐ歸り九月盡
秋の雨ふた日ひと夜の朝霧町
出京や秋の外套片手に持ち
玻璃むかふ秋の雨降る迷ひごと
竝び立つ霧の埠頭の人の中
霧曉けの人去らしむる埠頭かな
共に往き一人復りぬ秋海棠
右頰に秋の日享くる離京かな

薬に侵された恋人の黒人兵がアメリカへ帰ってゆくのを見送る、そのスカルプティング・イン・タイムの八つのシークエンス。僕はこの組句を――哀しくも美しいと思う――

秋櫻うつすら想ふ死のてだて

四ヶ月前の「コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ」を自解する句である。

山の子がはにかみて出す掌の木の實

しづ子の女らしい優しさが珍しく素直に示された美句である。

雪粉粉わつと叫びて狂ひたく
鐡路凍つ體投ぐること有り得べく

発狂願望と自殺願望とが――ルナティクに舞う粉雪と――触れなばびっと張り付いて皮膚がべろりと剥けそうな凍ったレールに――オーバー・ラップする――

責むるには哀しかりけり鰯雲

これは無論、加藤楸邨の主観俳句の名句「鰯雲人に告ぐべきことならず」のインスパイアなのであるが、如何にもますらをぶりの男系句である楸邨に、相聞でしづ子は美しく返したのだ。

   鰯雲人に告ぐべきことならず
   責むるには哀しかりけり鰯雲

この美事な鏡像構造を見よ。この句は決して句屑の中に埋もらせるべきものでもなく、また軽々に扱うべきものでもないと僕は思う。

右頰に秋の日享くる離京かな
山の湯に肩まで浸る十月盡
右の上秋の水きて流れけり
ひややかにうなじの黑子吹かれけり
木に倚れば頰に擦れ合ふ黄ばみし葉
(「樹海」昭和27(1952)年1月号)

以上、発表句全5句。冒頭の句は単独で切り離された時、しづ子の思いは全く読者に伝わらないことがお分かり頂けるはずである。三句目は句稿から、「石」の誤植。「樹海」の誤植か底本の誤植かは不明だが、「樹海」の誤植とすれば、句誌としては話にならない致命的な酷い誤植である。「器」を「黑」として訂正もせず、その「器」を勝手に「磁器」から「男性生殖器」に読み替える愚劣なスカベンジャーどもの姿が垣間見える――

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