新編鎌倉志卷之五 大仏
「新編鎌倉志卷之五」を「大仏」まで更新。注に書いたが、電車賃を捻出するために、昼飯を駅前の林檎一顆にして、それを齧りながら鎌倉の山中を彷徨った。三十年前の鎌倉はこんなに混んでいなかった。ちょっと谷(やと)に入ればひっそり閑として、田圃に蓮華が咲いていた。今や、紅葉も踏みしだかれて粉になっている。田を探すことも至難の技だ。経済効果を狙う前に、自然と環境をもっと保全する策を立てなければ、「世界遺産」となった途端に、僅かな鎌倉らしささえも、完膚なきまでに消え去ってしまうであろう。そしてただ「新編鎌倉志」や「鎌倉攬勝考」の中にのみ、往時の土の匂いを夢想するだけ――これは如何にも淋しいことだ――
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