鈴木しづ子 三十三歳 昭和二十七(一九五二)年七月六日附句稿五十六句より 十二句
許せかし醉ふてみだれし月の前
涼風や鼻尾をはさむ足の指
涼しさのえりあしみせし髮の形り
蚊遣香の渦のからみを色にたどり
素足の膚鼻尾濕りの色にじむ
夏降りの臙脂濕りの鼻尾の面
あまおとの殼つたひけり蝸牛
晩そ夏の膚をさらすや湯の濕り
錯亂の頭の一角や紅蝙蝠
蚊遣香の渦たどりゆく錯覺す
炎天の輓馬に蹤きてゆくほかなし
炎天の輓馬と吾と徑岐る
今……二〇一一年十二月三十一日午後九時半過ぎ……しづさん……残すところ、千百数句……今年最後の、私のあなたの句の選句です……ありがとう、しづさん……
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