鈴木しづ子 三十二歳 昭和二十七(一九五二)年三月三十日附句稿百五十六句より(6) 四句
かよちやんは眞赤なセーター双つ子の
きみちやんはチェツカの外套双つ子の
和男に詩朗たちきやんは否進學す
徑でこぼこけんちやんゆきちやん一年生
幼稚園の修業式を詠ったものと思われる句群から子らの名を詠み込んだものを採った。この子らはしづ子の住んでいた近隣の子らであろう(直後に「進学す肉商ひの親ありて」がある)。きっとよくこの子らとしづ子は遊んでやったのであろう。でなければ、名をこんなに親しげには詠み込まない。先に「寒雲に忌むや啄木と一茶殊のほか」と詠んだしづ子であるが、双子の連作や絶対リアリズムの最後の句、そして何より、総て違った子らの名を詠み込んでいるところに、作句の新規一転などという小賢しい作為などではない、しづ子の眼差しの限りない母性的優しさを隠しようもないではないか。三句目は、「たきちゃん」ともう呼ばれるのは小学生なんだから「否(いや)」という意味で採れなくもないが、そうした荒い省略法はこの期のしづ子には見られないし、前後の素直な詠からしても、これは「皆」の誤りかと思われる。
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