鈴木しづ子 三十三歳 昭和二十七(一九五二)年七月五日附句稿二百七十四句より(11) 贈り人失せて日仐は靑し戀もまた
贈り人失せて日仐は靑し戀もまた
掉尾日傘十句から。ケリーからのプレゼントであったのだろう。
――仕舞われていたお気に入りの水色の日傘を今年もまた包みから出してさしてみる――
――一年前は彼はまだ、生きていた――
――けれど今年はもう――
――あの人は永遠に冥界の霧の彼方へ消えていってしまった――
――燦々と降り注ぐ陽光――
――もう私しか帰ってこない住まいへ――
――くるっ――くるっ――
――と傘を回してみる――
――くるっ――くるっ――
――みずいろの日傘としづ子――
――しづ子独り――
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