鈴木しづ子 三十三歳 昭和二十七(一九五二)年六月二十三日附句稿百七十一句より(4) 三句
塔白き熱さまよひの夢なりし
白塔と蟻と熱砂と夢に病む
夢に病みて月美しき蝦夷の夏
「夢に病みて」の中七は底本「月美しさ」。独断で変えた。この辺り、死の翳りを潜ませたような不思議な夢の句が続くが、そこに師巨湫を憶う妙な句が挟まったり、「夢に病みて」からは幼少期の北海道の思い出がフラッシュ・バックしたような「札幌」「蝦夷」「アカシヤ」を詠み込んだ句が十句ほど続いたりもしている。
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