鈴木しづ子 三十三歳 昭和二十七(一九五二)年六月二十四日附句稿百五十七句より(2) 西瓜七句
指はじきはじき西瓜の品さだめ
わが選りしにし西瓜の重み掌を替え持つ
識らざれば言はるるままの西瓜得て
西瓜得て黄昏のみち急ぎけり
西瓜割る燈しの下に板を据え
夜の西瓜かつと割るや刃の兩側
刃をあつるべく定まらぬ西瓜の位置
しづ子の誤字であろう、総ての句の「西瓜」は総て「西爪」。総て「西瓜」に訂した。「指はじき」の中「はじき西瓜の」は底本「はいき」。独断で「じ」の誤読と判断して訂した。「わが選りしにし」の「選りしにし」は誤字か誤読が疑われるが、「選りにし」の謂いであろう。「識らざれば」の下五は「西爪を得ふ」である。これは「得て」か「得し」か「得る」などが疑われるが、「累」の変体仮名「る」は実は最も「ふ」に近い。但し、次句の上五との一致から独断で「得て」とした。
私はこの西瓜連作、とっても好きだ。
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