鈴木しづ子 三十三歳 『樹海』昭和二十八(一九五三)年四月号しづ子詐称投句全掲載句
人の子の劇觀て歸る牡丹雪
雪の日の辯論大會少年好し
繪のこと言ふいとしきものよかがよふ雪
子ならずとも春雪を來しかがやく眸
雪中の親しみくるは知らざる犬
雪つけど觸るるべからず御師の眉
前に述べた如く、最初の三句が子らを詠んだもの、四句目は自分の眸の中に子らの童心を見ており、五句目は見知らぬ野良犬に向けるしづ子の優しい眼である。……そして……そして巨湫は、大胆にも昭和二十七(一九五二)年二月十二日句稿から、あの同年二月四日の岐阜駅での、しづ子との数分の再会の一瞬のスカルプティング・イン・タイムの――それもかなり危うい句を……敢えて選んでいる。――あんた、やるね……巨湫さん、よ……
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