鈴木しづ子 三十四歳 『樹海』昭和二十九(一九五四)年六月号しづ子詐称投句全掲載句
こころぎめ
掌に握る鍵温し雪しまくなか
秋葵咲きつぐことやここぎめ
風過ぎし穗草匂ふや人あらぬ
「しまく」「繞く」で、取り巻く、取り囲むの意。コスモスは長い期間、開花が続く。「穗草」は穂の出る草や秋に穂花を出している草を指す季語であるが、一般には稲の穂や芒の穂を指すことが多い。ここは後者であろう。
乱舞する雪の中で――
群生し風に揺れるコスモスの中で――
尾花の独特の匂う銀波うねりの中で――
しづ子はいつも――
独りである――
そうしてそこでしづ子は――
必ず埋み火のような心で人知れず一人――
決意をするのだ――
これからも――永遠に――しづ子ひとり――と
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