鈴木しづ子 三十四歳 『樹海』昭和二十九(一九五四)年三月号しづ子詐称投句全掲載句
隠るる如
萬綠の流れ激ぎちこゑを載す
月明の棚に身を凭せ刻過ごす
隠るる如月の片蔭みちをゆく
爐火のまへこの白肌ぞ孤りなる
爐火の燃え祕むるこころの喪さながら
癪だけれど……この五句の撰は美事である――五句全体のソリッドな感覚も素晴らしい。流石は巨湫だ――というより――巨湫は確かにしづ子を愛していた――それだけが分かれば――相愛の二人にもう――僕らは文句は言えないのだ……
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