鈴木しづ子 三十六歳 『樹海』昭和三十一(一九五六)年九月号しづ子詐称投句全掲載句
からたち
照る月を夫となすかけがへあらぬ
人形に添寢をさせる蒲團かく
炎え出でし梅雨の光りの永からず
楓の葉に梅雨颱風あつさり過ぐ
渦潮の春日のもとの厚みかな
躬を寄せていぶり炭をば見分けむと
なぜか汗が哀れでならぬ書きつつに
「渦潮の」と「躬を寄せて」の二句は――特に伝統俳句の観点から見れば――如何にも渋い名吟と私には映る。少なくとも地に足の着いたしっかりとした句である。
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