鈴木しづ子 三十四歳 『樹海』昭和三十(一九五五)年二月号しづ子詐称投句全掲載句
鹿
雄の鹿のたちてうごかず形り固く
雄鹿たつ吾れに背きてほど遠く
雄の鹿のこころ深げに形りにたつ
水飲みに鹿下りてくるおなじみち
すこし水飲みて足りつつ鹿驅くる
前号の「近江の葉」の京都を読んでいると、あたかもそのまま奈良に向かったしづ子の穏やかな羈旅吟のようにアリバイが作られていはしないか。読者を巧妙に騙す巨湫マジックである。
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鹿
雄の鹿のたちてうごかず形り固く
雄鹿たつ吾れに背きてほど遠く
雄の鹿のこころ深げに形りにたつ
水飲みに鹿下りてくるおなじみち
すこし水飲みて足りつつ鹿驅くる
前号の「近江の葉」の京都を読んでいると、あたかもそのまま奈良に向かったしづ子の穏やかな羈旅吟のようにアリバイが作られていはしないか。読者を巧妙に騙す巨湫マジックである。