鈴木しづ子 四十二歳 『きのうみ』昭和三十八(一九六三)年十月号しづ子詐称投句全掲載句
花舗(はなみせ)へ橋越えてゆく梅雨の降り
午後よりは齒醫者へ通う梅雨の照り
炎日の草が吹かるる縣境
短か夜のゆめの白さや水まくら
風鈴や枕に伏してしくしく沸く
最終句の「沸く」はママ。「涕く」の誤植。総て現存する大量投句稿の、最も古い昭和二十六(一九五一)年六月八日附句稿から採られたものである。総てを投句稿の正表記(私の恣意的な旧字化をしていない底本のままの意)で示す。
花舗へ橋越えてゆく梅雨の降り
午後よりは歯醫者へ通ふ梅雨の照り
炎日の草が吹かるる縣界
短夜の夢の白さや水枕
風鈴や枕に伏してしくしく涕く
「花舗」の読みは元にはない。これらも同句稿の連続する十六句の中から採られた五句である。因みに、最後の句は『指環』に所収する句である。
――そしてこれが――鈴木しづ子の『きのうみ・樹海』での詐称掲載の――最後となった――
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