失踪していた本を発見する
かつて録画したヴィデオ・カセット200本程をそろそろ廃棄しようと段ボールに入れてあったのを整理しかけたところ、その一箱の中に二年程前から失踪していた尾崎放哉の句集「大空」初版本が落下しているのを発見した。先日来の身辺整理で見つからず、諦めかけていた。何せ、実物は大正十五(一九二六)年刊行ながら、極めて希少で現存確認出来るものは数冊と言われているだけに(放哉研究家でも持っている人は少ない。僕自身、現物を見たことはさる文学展での一度しかない)、復刻でも無性に嬉しかった(しかし、近年、この手の復刻本は人気がガタ落ちだ。因みに今、ネットで調べたら、この復刻「大空」、中古で千円だとよ……♪とほほ♪……でも千円、とんでもないお買い得だと……思うよ……♪ふふふ♪)。1983年にほるぷ社が復刻したセット販売の「詩歌文学館」の「紫陽花セット」の一冊で、実に29年前、薄給のボーナスをつぎ込んで買ったものだった。本書が貴重な理由は、数多い尾崎放哉の出版物の中で、正字で記されているものは現在、全くと言っていいほど、流通していないからである。また、以前にブログ版「鉦たたき」で示したように、随筆「入庵雑記」等は現在知られているものとは、表記や表現にかなり有意な異同が見られるのである。――今日の「大空」の僕の手への帰還は、僕の野人への御褒美である。――何故なら僕が野人化しなければ、この段ボールの山は五六年先まで開かれることはなかったからである。――これより、全「入庵雑記」『大空』版テクスト化作業に入る――
« 新編鎌倉志總目録(やぶちゃん電子版) 「新編鎌倉志」本文テクスト化プロジェクト完遂 | トップページ | 海豹 フイオナ・マクラオド 松村みね子訳 底本脱落部分二ページ分追加 »

