映画「20世紀少年」 或いは 20世紀少年である僕
昨日の夜から今日まで……映画の「20世紀少年」3部作総てをDVDで見た――
言いたいことはごまんとあるが――
原作を読んでからにしようと思う――
一言だけ――
「僕は確かに――あの――『20世紀少年』だ――」
1970年――
あの年、僕は中学2年だった――
――僕は父母に……田舎の鹿児島に帰るか、万博に行くか……と聞かれた――
僕はきっと万博に行きたかったのだろうが……
――「世間の常識」が嫌いになっていた……
――GFRやピンク・フロイドをヘッドフォンで大音量で聴きながら……
「いいよ、鹿児島で。」と言った……
夏休み明け、教室は万博の話題ばかりだった……
行けなかった同級生も、それに話を合わせていた……
僕は……
「お祭りは嫌いなんだ」
と斜に構えて答え……みんなから、胡散臭く思われたのを忘れない……
それから僕は――今、以ってずっと――
あらゆる「祭り」は――
「ダイキライダ!」……
***
面白くないことに――
僕は第一章で「ともだち」が誰か分かっちまったんだ……
これは「いじめられたことがあり、その反動でいじめたことがあり、世界は滅べばよいと思ったことがある総てのあの時代の少年」ならば……
すぐ分かっちまうんだよ……直感でね……(言っとくと、今の現役教師にこの映画は頗る教育的効果を持つ作品だとは、ふふ、思うね)
いや――映画だからだね――映画はスカルプティング・イン・タイムなんだ――誰が本当の「ともだち」か……既にフレーミングで示していたじゃないか!……まあ、待ちなよ……僕がホームズだなんて言ってやしない……いじめられ、いじめたことのある昭和30年代の少年なら……直観として、分かるんだって……(僕はネタバレは嫌いだ。ここまでにしておくよ)
序でに言おうか……実写が致命傷なのだ……メカやシノプシスの話じゃあ、ない……俳優だよ……「ともだち」の正体を演じる役者は……監督がとんでもない凡才か鬼才でない限り……そのモンタージュや台詞の言い回しや、もっと分かり易く言うなら、「あれ? ここって、母さん、おかしくない?」って、分かるんだよ……母さん……あの30年代を生きた僕は……映画大好きな母に育てられたんだ……観客を甘く見るな!……『貴様』が「ともだち」だって……僕はとっくに……分かってたんさ……
……しかし……確かにこれは僕に『沁みる』映画だ……僕は一度として笑えなかった(残念ながら泣きもしなかったけれど……いや、あの頃の時代劇の堅実な定番俳優であらあれた老優左右田一平氏の姿を見た瞬間は微笑んだことを告白する)……確信犯の世間的パクリ(僕は「アバター」で言った通り、総ての映画は「パクリ」だと思うから、これは「引用」が正し謂いだと思っている)が……少なくとも僕の教え子の誰より、数十倍楽しめたことを諸君に確約出来る(作中の登場人物の名も場面も音楽も役者も、だ)。
でもね……僕はやっぱり……一回も笑わなかったのだ――笑えなかったのだ――
河原の秘密基地――五円屋の万引き――貧しかったあの頃……でも……「ともだち」が欲しかった――あの頃を……
僕は……未来永劫――笑えない……
僕は確かに20世紀少年で――「ある」――
――まことしやかな愛も――まことしやかな道徳も――まことしやかな世界平和も――
事実として愚劣な現実ではないか!――