やぶちゃん主演SFドラマ夢
本未明に見た頗る楽しかった第二話の夢。
僕は深宇宙開拓の先遣基地である惑星ビュフォンの図書館司書として勤務している(実際に、僕は図書館司書の資格も有している。前夜、僕はビュフォンの博物誌を読んでいた)。
基地の同僚は――皆――何かを隠している……(日本人は私だけだが、夢は嬉しいことに、分かり易い罵倒の台詞なんぞは英語のままで、大事な部分はちゃんと日本語にふき替えてあったよ)
観測用無人ロケット(と聞かされているもの)が自動帰還するが、たまたまそこに居たのは僕だけであった(このシーンはタルコフスキイの「惑星ソラリス」のロケットの発射ブースに似ていた)。
ハッチが開くと、人一人が通れる筒状の通路の奥に妙に沢山の人の気配がした。……
自動接続された基地のコンピュータにロケットからデータ転送がなされるが、その空中ディスプレイに表示されたのは多量の画像で、それも――何故か、少年や少女の、遊園地のジェット・コースターやヨットやクライミングをして遊んでいる無数のマルチ画像(動画らしい)であった。……
最後に極秘扱いのスタンプが押されたデータが表示されるが、そのコンテンツには“New gene ?”“old gene ?”という選択肢や、“Disposal”“Hold”とか“Survivor”という文字が見えた。……
と、そこに防護服に身を固めた(因みに僕は三つ揃えの地味な茶のスーツを着ている)同僚らがやって来て、先頭のシガニー・ウィーバーみたような姐さんが、
「――あとは任せなさい。」
と言って僕を室から出るように促した。……
僕は図書室に戻るが(この図書室はやはり「惑星ソラリス」のそれを数十倍にした感じのレトロで重厚なものであった)、そこで本を読んでいる二人の非番の隊員たちが、何故か、意味深長な目つきをしているのに気づく。
僕は、
「あの中にいる『子ども』たちは――一体なんだ?」
と単刀直入に訊くのだが、彼等はカフカの「審判」よろしく、
「――君は何だと思う?」
「――それは微妙な問題なんだ。」
「――謎は謎のままだからこそ謎として美しい……」
といった訳の分からないことを笑みを浮かべて呟くばかり。
中の一人(基地の警備係という設定らしい)が、掌のバーチャル・ディスプレイを掲げて、
{――御覧よ、やっこさん、あんたのこと、相当イカってるゼ。」
と言う。確かにそこには、さっきのブースで僕の上司が僕を名指しで罵倒している監視カメラの生映像が映し出されていた。
彼はそのまま図書室を出て行くが、出しなに入口のガラス・ボードに何かを書いて行った。
見てみると、何か無意味なアルファベットと数字とアインシュタインをカリカチャラズした戯画が記されている(これらの文字列は覚醒した時は一部覚えていたのだが残念なことに失念した。すぐに書き取っておくべきだった)。
もう一人(彼は僕が最も親しくして心許している友人と言う設定らしい)が寄って来て、
「こりゃ……警告のアナグラムだな……」
と呟いて出て行こうとする(これはもう「ダヴィンチ・コード」の影響だな)が、振りかえって、
「今日、これから○○谷(この地名も失念)へ行くけど、一緒に行かないか?」
と声をかけてくる。……
――青い水面から硫黄臭いガスを激しく吹き出している〇〇谷(この星の大気は地球と等しいらしく、僕と彼は普通のトレッキング・スタイルである)
――その噴煙の中から、突如出現する、小さな、「少年」の顔をした(顔だけが美少年)、おぞましいビースト!*
(*四肢はチュパカブラ風であったが、これは恐らく僕の好きな漫画家諸星大二郎の作品に登場するに相応しいモンスターであった)
――私に飛びつくビースト!
――僕を水底に引き込もうとするビースト!
――それを笑いながら見ている友人の彼……(仰角のクロース・アップでフェイド・アウト)……
注:これで最後に“To be continued”と字幕が出れば完璧だった。流石に出なかったが、今朝、目が覚めた時は「続き! 見たい!」と思ったことは言うまでもない。なんてったって僕が主演なんだからネェ……。