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2012/11/20

耳嚢 巻之五 痳病妙藥の事

 痳病妙藥の事

 かる石を滿願寺抔上酒(じやうしゆ)にひたし、燒(やき)候て又酒にひたし、再遍(さいへん)いたし候得(さふらえ)ば粉に成(なり)碎(くだけ)候を、細末にして呑むに甚(はなはだ)奇妙成(なる)よし。ためしたる人の物語り也。

 

□やぶちゃん注

○前項連関:杉山流針治始祖譚から民間医薬で医事連関。それにしても、本文中にはその肝心の有効病名が記されていない。フロイト的に考えると、いろいろ憶測されて面白いな。

・「痳病」淋病。真正細菌プロテオバクテリア門βプロテオバクテリア綱ナイセリア目ナイセリア科ナイセリア属 Neisseria 淋菌 Neisseria gonorrhoeae に感染することで発症する性感染症。ウィキ淋病」によれば『淋は「淋しい」という意味ではなく、雨の林の中で木々の葉からポタポタと雨がしたたり落ちるイメージを表現したものである。淋菌性尿道炎は尿道の強い炎症のために、尿道内腔が狭くなり痛みと同時に尿の勢いが低下する。その時の排尿がポタポタとしか出ないので、この表現が病名として使用されたものと思われる』。学名の種小名は古くからのこの病気の呼称で『古代の人は淋菌性尿道炎の尿道から流れ出る膿を見て、陰茎の勃起なくして精液が漏れ出す病気(精液漏)として淋病をとらえ、gono=「精液」 、rhei=「流れる 」の意味の合成語gonorrhoeaeと命名した』とある。また、『新生児は出産時に母体から感染する。両眼が侵されることが多く、早く治療しないと失明するおそれがある』とある。高校の保健体育の老教師は、昔の風呂屋は浴槽の温度が低かったから、感染者から漏れ出た淋菌が相対温度の低い角の部分に生きて集まっており、そこに入った小児の眼に淋菌が感染、重い淋菌性結膜炎を起こして失明する、それを風眼(ふうがん)というんだ、と風呂屋の図入りで滔々と教授されていたのを思い出す。少し眉唾っぽいところもあるが、江戸時代の劣悪な湯屋(ゆうや)なら、そういうこともあったかも知れないな。

・「滿願寺」摂州の北に位置し、酒造業で栄えて交易地としても知られた池田(現在の大阪府池田市)にあった満願寺屋酒造。大阪府立中之島図書館の小展示資料集の「近世大坂の酒」には、元禄一〇(一六九七)年には酒造家数三十八『戸を数え、田舎酒群から近世的酒造業に脱して銘醸地となった。その原因は、幕藩体制の初期より「酒造御朱印」(酒造免許権)が池田に下付されたことのほか、技術的には良質な猪名川の伏流水という優れた醸造用水と、山間部の良質な酒米を容易に得られたこと、それに猪名川の舟運が利用でき、江戸積みに有利であったことによる』。『池田酒の始祖といわれる満願寺屋九郎右衛門の政治的手腕により、徳川家にくいこみ江戸幕府の保護をかちとり、徳川の天下統一とともに急速に発展をとげ、一時期は伊丹』(今の兵庫県伊丹市。その伊丹酒(いたみざけ)は将軍の御膳酒御用達であった)『と並んで江戸を完全におさえてしまうまでにな』ったが、安永五(一七七六)年『に満願寺屋の手中にあった「御朱印」が取り上げられ、満願寺屋の没落とともに池田の酒造業も急速に衰え、「灘の酒」にその地位を譲ることになる』とある。この御朱印取り上げというのは気になるな。

・「上酒」品質の良い高級酒。

 

■やぶちゃん現代語訳

 

 淋病の妙薬の事

 

 軽石を満願寺なんどの良き酒に漬(ひた)しおいた後に焼き、また漬しては焼く、ということを何度も繰り返せば、これ、遂には粉になって砕けて御座る。これを更に磨って粉末と致し、服用致さば、これ……「あの病」に……絶妙の効め、これ、あり!……とは……いやいや! これを試して御座った御仁の話、にて御座るよ。

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