傾城恋飛脚
「傾城恋飛脚」
新口村(しんくちむら)の段――
季節柄、雪の舞台は、見る者の意識を劇場外へと広げて哀感切なく美しい。……
ポスト蓑助と称してよいであろう豊松清十郎の梅川は言うまでもなくいい。……
ただ僕は今回、吉田玉也の孫右衛門に、強く打たれた。
幕切れ直前、羽織を被った彼の羽織が震える時、僕は太夫の泣きではなく、人形孫右衛門の啜り泣きが――確かに聴こえたのであった…………
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「傾城恋飛脚」
新口村(しんくちむら)の段――
季節柄、雪の舞台は、見る者の意識を劇場外へと広げて哀感切なく美しい。……
ポスト蓑助と称してよいであろう豊松清十郎の梅川は言うまでもなくいい。……
ただ僕は今回、吉田玉也の孫右衛門に、強く打たれた。
幕切れ直前、羽織を被った彼の羽織が震える時、僕は太夫の泣きではなく、人形孫右衛門の啜り泣きが――確かに聴こえたのであった…………