鎌倉日記(德川光圀歴覽記) 補陀落寺/逆川橋
補陀落寺
南向山歸命院ト號ス。材木座ノ東、町屋ノ内ニアリ。古義ノ眞言宗ナリ。本寺ハ御室也ト云フ。賴朝五十三歳ノ木像アリ。
寺寶
平家調伏之時之打數
平家ノ赤旗 一ツ
〔幅二布二尺アリ。長サマチマデ三尺五分、其下ハ切レテシレズ。地ハ赤布ニ、九萬八千軍神ト亭付アリ。〕
[やぶちゃん注:「二布」は「ふたの」と読み、「布(の)」は布の長さを言う数詞。並幅(反物の普通の幅で鯨尺で九寸五分、現在の約三十六センチ相当)の二倍の幅、約六十二センチを言うから、二布二尺(この場合もやはり鯨尺の一尺と考えて約三八センチメートルとすると)は、約一・三八メートルとなる。「三尺五分」分は鯨尺だと約三八ミリメートルになるので約三メートルとなる。源平の旗は恐らく我々が想像する以上に大きかったことが分かる。]
逆 川 橋
辻ト大町トノ境ナリ。名越坂ヨリ西北へ流ルル川ナル故ニ逆川ト云ナリ。