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2012/12/20

耳嚢 巻之五 齒牙の奇藥の事 / 耳嚢 巻之五 完 耳嚢全1000話中500話終了

 齒牙の奇藥の事

 

 齒の動き又は齒ぐきはれてなやむ時、南天を黑燒にしてつければ快驗を得る由人のかたりし故、予が同寮の人其通りになせしに、快く不動(うごかざる)事神の如しと語りぬ。

 

□やぶちゃん注

○前項連関:なし。民間療法シリーズ。本話で百話、卷之五が終了。私がブログで本プロジェクトを始めたのが二〇〇九年九月二十二日であるから、三年と八十五日、延べ一一八五日でこの「耳嚢」駅伝の折り返し点に、遂に到達した。但し、野人となった本年は約七ヶ月で二巻分をこなしているから、あり得ないと思っていた完全テクスト化も、このまま順調に行くならば、再来年の春には完成するはずである。一点の星ではあるが、一等星の光明が見えてきた気がする。

・「南天」キンポウゲ目メギ科ナンテン亜科ナンテン Nandina domestica Thunb.ウィキナンテン」の「薬用など」の項によれば、『葉は、南天葉(なんてんよう)という生薬で、健胃、解熱、鎮咳などの作用がある。葉に含まれるシアン化水素は猛毒であるが、含有量はわずかであるために危険性は殆どなく、逆に食品の防腐に役立つ。このため、彩りも兼ねて弁当などに入れる。もっとも、これは薬用でなく、食あたりの「難を転ずる」というまじないの意味との説もある』。『南天実に含まれる成分としては、アルカロイドであるイソコリジン、ドメスチン(domesticine)、プロトピン(英語版)、ナンテニン(nantenineo- methyldomesticine)、ナンジニン(nandinine)、メチルドメスチン、配糖体のナンジノシド(nandinoside)などの他、リノリン酸、オレイン酸が知られている。鎮咳作用をもつドメスチンは、多量に摂取すると知覚や運動神経の麻痺を引き起こすため、素人が安易に試すのは危険である。また、近年の研究でナンテニンに気管平滑筋を弛緩させる作用があることが分かった』。『また、ナンジノシドは抗アレルギー作用を持ち、これを元にして人工的に合成されたトラニラストが抗アレルギー薬及びケロイドの治療薬として実用化されている』とあり、漢方でもナンテンの葉は胃腸の痛みや脱肛、眼病や歯痛みを抑える生薬として実際に使用されていることが各種の漢方記載からも分かり、ここに記された解熱効果やアルカロイドのドメスチン(domesticine)の持つ知覚麻痺作用は、歯槽膿漏や歯周病などによる歯茎の腫脹を伴う発熱や痛みへの効果がないとは言えまい。中国原産で東アジアに広く分布し、日本では西日本の暖地の四国や九州に自生しているが、古い時期に渡来した栽培種の野生化したものと考えられている。但し、属名の“Nandina”は和名ナンテンに基づいてつけられており、種小名の“domestica”も「家族の」「個人の」「本国の」「国内の」という意味である。安永四(一八五七)年に来日して本邦初の日本植物誌を著して日本植物学の基礎を作ったスウェーデンの植物学者で医師のカール・ツンベルク(Carl Peter Thunberg 一七四三年~一八二八年 学名には命名者略記“Thunb.”が用いられている)が本邦の民家の庭に栽培されていたナンテンを見て(彼はたった一年の在日であったが将軍家治に謁見、箱根町を中心に植物八〇〇余種を採集した)、かく命名したのものと思われる。

・「黑燒」本巻の黑燒屋の事の私の注を参照のこと。

 

■やぶちゃん現代語訳

 

 歯の奇薬の事

 

 歯が動く、または歯茎は腫れて痛む折りは、南天を黒焼きにして塗付致せば、見る間に軽快、これ、得らるる由、さる御仁が語って御座った故、私の同僚の者、歯の痛き折り、この、私の話した処方通りに致いたところが、

「――いや、もう! 大層、快う御座っての! 歯の動がざること、これ神の如し! で御座る! ほうれ!――」

と、

「イー!」

をして、わざわざ見せて御座ったことじゃ。

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