一言芳談 三十
三十
又云、煩惱のうすくあつきををもかへり見ず、罪障のかろきおもきをも沙汰せず、たゞ口に南無あみだ佛ととなへて、聲につきて、決定(けつぢやう)往生をなすべし。
〇煩惱、心におこる三毒なり。
〇罪障、身と口とになしつる惡業なり。
〇聲につきて、南無阿彌陀佛といづるこゑはみな彌陀の本願に順ずるがゆゑなり。向阿上人云、異香よりも、紫雲よりも、南無阿彌陀佛ととなふるこゑにすぎたる往生のしるしやは侍るべき、云々。
[やぶちゃん注:大橋氏注によれば、この一条も国宝「法然上人行所絵図」の第二十一などに所収する。
「決定往生をなすべし」Ⅲも同じ。Ⅰは『決定往生の思をなすべし』とある。]