一言芳談 八十
八十
明禪法印云、往生は、大事なることのやすきなり。
〇大事なることのやすきなり、大事とおもひてますますはげむべし。やすしと心得て卑下(ひげ)することなかれ。
[やぶちゃん注:「大事なることのやすきなり」これは「大事なることの、やすきことなり」の謂い、則ち、格助詞「の」は連体修飾格ではなく、同格である。――並々ならぬ大切なことであって、同時に簡単で容易いことである――というのである
「やすしと心得て卑下することなかれ」この場合の「卑下する」は、自身を劣ったものとして賤しめるの意であり、往生は大事と心得てますます称名念仏に専心し、同時に如何にも容易なことと素直に思うことが大切――自身が無智蒙昧の凡夫なれば、とてものことに往生など出来ぬに違いないなんどといらぬ卑下などを成してはならぬ――というのである。]
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