西東三鬼 拾遺(抄) 昭和二十六(一九五一)年
昭和二十六(一九五一)年
滿月の荒野ますぐに犬の戀
大旱のきりぎし海へ砂こぼす
産みが打揚げしもの焚く熱砂の上
旱り坂牛の圖體登り切る
月も旱り鎖の端の犬放つ
瀆れし夜明けゆく岬松の芯
麥秋や帽燈弱く集ひ來る
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昭和二十六(一九五一)年
滿月の荒野ますぐに犬の戀
大旱のきりぎし海へ砂こぼす
産みが打揚げしもの焚く熱砂の上
旱り坂牛の圖體登り切る
月も旱り鎖の端の犬放つ
瀆れし夜明けゆく岬松の芯
麥秋や帽燈弱く集ひ來る