西東三鬼 拾遺(抄) 昭和二十三(一九四八)年
昭和二十三(一九四八)年
拳(こぶし)もて胸打つ猿の寒の暮
冬濱に老婆夜明けの火を燃やす
冬濱に犬の頭骨いつまである
死が近し端より端へ枯野汽車
誕生日眠れぬ貝が音を立つ
蛙田に蛙の祭日蝕下
[やぶちゃん注:『天狼』六月号所収。昭和二三(一九四八)年五月九日に日本では部分蝕が観測された(礼文島では金環蝕)。]
蠅しかと交むを待ちて一撃す
« 耳嚢 巻之六 長壽の人格言の事 | トップページ | 北條九代記 尼御臺政子御鞠を見給ふ 付 判官知康酔狂 »
昭和二十三(一九四八)年
拳(こぶし)もて胸打つ猿の寒の暮
冬濱に老婆夜明けの火を燃やす
冬濱に犬の頭骨いつまである
死が近し端より端へ枯野汽車
誕生日眠れぬ貝が音を立つ
蛙田に蛙の祭日蝕下
[やぶちゃん注:『天狼』六月号所収。昭和二三(一九四八)年五月九日に日本では部分蝕が観測された(礼文島では金環蝕)。]
蠅しかと交むを待ちて一撃す