西東三鬼 拾遺(抄) 昭和二十四(一九四九)年
昭和二十四(一九四九)年
寢臺を鳴らし寢返り墓もなし
死者を夢み夜中の水に手をのばす
病廊を鼠逃るる老婆の死
嬰兒の死白衣を脱ぎて女醫歸る
降る雪を背に雪を這ふ龜なりき
颱風の街に血色の肉のみ賣る
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昭和二十四(一九四九)年
寢臺を鳴らし寢返り墓もなし
死者を夢み夜中の水に手をのばす
病廊を鼠逃るる老婆の死
嬰兒の死白衣を脱ぎて女醫歸る
降る雪を背に雪を這ふ龜なりき
颱風の街に血色の肉のみ賣る