憂はわたしを護る 大手拓次
憂はわたしを護る
憂はわたしをまもる。
のびやかに此心がをどつてゆくときでも、
また限りない瞑想の朽廢へおちいるときでも、
きつと わたしの憂はわたしの弱い身體(からだ)を中庸の微韻のうちに保つ。
ああ お前よ、鳩の毛竝(けなみ)のやうにやさしくふるへる憂よ、
さあ お前の好きな五月がきた。
たんぽぽの實のしろくはじけてとぶ五月がきた。
お前は この光(ひかり)のなかに悲しげに浴(ゆあ)みして
世界のすべてを包む戀を探せ。
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憂はわたしを護る
憂はわたしをまもる。
のびやかに此心がをどつてゆくときでも、
また限りない瞑想の朽廢へおちいるときでも、
きつと わたしの憂はわたしの弱い身體(からだ)を中庸の微韻のうちに保つ。
ああ お前よ、鳩の毛竝(けなみ)のやうにやさしくふるへる憂よ、
さあ お前の好きな五月がきた。
たんぽぽの實のしろくはじけてとぶ五月がきた。
お前は この光(ひかり)のなかに悲しげに浴(ゆあ)みして
世界のすべてを包む戀を探せ。