鬼城句集 春之部 動物 蝶
動物
蝶 てふてふのなぐれて高き焚火かな
[やぶちゃん注:底本では「てふてふ」の後
半は踊り字「〱」。以下六句総て同じ。
「なぐれて」はラ行下二段「なぐる」で、横
の方へ反れるの意。]
川風に吹き戻さるゝてふてふかな
てふてふの翅引裂けて飛びにけり
てふてふの虻に逃げたる高さかな
てふてふや鬚もうつりて石にゐる
てふてふや草にもどりて日暮るゝ
高浪をかむりて出づるてふてふかな
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動物や虫は村上鬼城の真骨頂であればこそ、季題ごとに分けて味わうこととする。