妊娠夢+詠唱夢
今朝方の六つばかりあったアンソロジーの夢の内、二つ。
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僕はアフリカのさる部族の村を訪ねている。しかし、旅ではない。それも僕ひとりだけが、そこに突如、テレポートしたような感じであった。
部族長が僕に、葉でくるんだタロイモで作ったと思しい白く固まった食物を差し出す。
僕はそれを美味しく戴いた。
傍に族長の娘がいる。
僕より遙かに背が高い。褐色の肌をした鼻の高いとても美しい娘であった。
僕は僕の食べていたそれを、その娘に笑いながら差し出す。
彼女はそれを満面の笑みで、少しだけ掬って食べた。
すると――族長が
「お前の子供が娘に宿った。お前は永遠に――我が種族である。」
と告げたのだった……。
僕は確かにこの娘に――僕の褐色の子供が孕まれていることを――確かな事実として――実感した。――
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その次の夢――
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僕は闇夜の荒野に立ち竦んで――アントニオ・カルロス・ジョビンの“Chega de saudade”「思いあふれて」を――唄っているのだ……
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前者の族長の娘は誰にも似ておらず、しかしてとても美しい娘だった……後者の特異性――僕は夢で自分が慥に唄っている夢を――初めて見たのであった……
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