詩壇の不在證明表 萩原朔太郎
詩壇の不在證明表
不斷に詩を作り、絶えず作品を發表してゐることによつてのみ、詩人としての存在を保護されてゐるやうな詩人――それの休止と共に、すぐに名を忘られてしまふやうな詩人。――は、他の詩人たちに對しても、同じやうな勤勉力行を要求し、それによつて詩壇の不在證明表(アリバイ)を作る。
[やぶちゃん注:昭和一五(一九四〇)年創元社刊のアフォリズム集「港にて」の冒頭パート「詩と文學 1 詩――詩人」の十五番目、先に示した「詩人の稱呼」の直後に配されたものである。――私は、今現在、生きているところの、こういう自称詩人を知っている/しか知らない――。]

