漁色 大手拓次
漁色
あを海色(うみいろ)の耳のない叢林よ、
たまごなりの媒酌のうつたうしい気分、
おとなしい山羊の曲り角に手をかけて、子供たちの空想の息をついてみよう。
夜(よる)よ、夜(よる)よ、夜(よる)の船のなかに
茴香色(うゐきやういろ)の性慾はこまやかに泡だつて、
花粉の霧のやうに麥笛をならす。
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漁色
あを海色(うみいろ)の耳のない叢林よ、
たまごなりの媒酌のうつたうしい気分、
おとなしい山羊の曲り角に手をかけて、子供たちの空想の息をついてみよう。
夜(よる)よ、夜(よる)よ、夜(よる)の船のなかに
茴香色(うゐきやういろ)の性慾はこまやかに泡だつて、
花粉の霧のやうに麥笛をならす。