裸體の森 大手拓次
裸體の森
鏡の眼をもつた糜爛(びらん)の蛇が、
羚羊(かもしか)の腹を喰ひやぶる蛇が、
凝力の強い稟性(ひんせい)の痴愚を煽つて
炎熱の砂漠の上にたたきつぶす。
冷笑の使をおびた駝鳥が奇怪なづうたいをのさばらす。
死ね……
淫縱の智者よ、
芳香ある裸体の森へゆかう。
なめらかな氈(かも)の上に 化粧の蛇は媚をあふれこぼす。
[やぶちゃん注:「稟性」生得の性質。天賦の質。天性。]
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裸體の森
鏡の眼をもつた糜爛(びらん)の蛇が、
羚羊(かもしか)の腹を喰ひやぶる蛇が、
凝力の強い稟性(ひんせい)の痴愚を煽つて
炎熱の砂漠の上にたたきつぶす。
冷笑の使をおびた駝鳥が奇怪なづうたいをのさばらす。
死ね……
淫縱の智者よ、
芳香ある裸体の森へゆかう。
なめらかな氈(かも)の上に 化粧の蛇は媚をあふれこぼす。
[やぶちゃん注:「稟性」生得の性質。天賦の質。天性。]