假面の上の草 大手拓次
假面の上の草
そこをどいてゆけ。
あかい肉色の假面のうへに生えた雜草は
びよびよとしてあちらのはうへなびいてゐる。
毒鳥の嘴(くちばし)にほじられ、
髮をながくのばした怪異の托僧は こつねんとして姿をあらはした。
ぐるぐると身をうねらせる忍辱は
黑いながい舌をだして身ぶるひをする。
季節よ、人閒よ、
おまへたちは横にたふれろ、
あやしい火はばうばうともえて、わたしの進路にたちふさがる。
そこをどいてゆけ、
わたしは神のしろい手をもとめるのだ。
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假面の上の草
そこをどいてゆけ。
あかい肉色の假面のうへに生えた雜草は
びよびよとしてあちらのはうへなびいてゐる。
毒鳥の嘴(くちばし)にほじられ、
髮をながくのばした怪異の托僧は こつねんとして姿をあらはした。
ぐるぐると身をうねらせる忍辱は
黑いながい舌をだして身ぶるひをする。
季節よ、人閒よ、
おまへたちは横にたふれろ、
あやしい火はばうばうともえて、わたしの進路にたちふさがる。
そこをどいてゆけ、
わたしは神のしろい手をもとめるのだ。