目をあいた過去 大手拓次
目をあいた過去
この放埒(はうらつ)な空想は
行きつまつて 自(みづか)らのからだのうちへ沈んだ。
みづからをとめどもなく掘りくづす旅わたりの金鑛夫(きんくわふ)、
わたしの過去はなまなましくくづれてくる。
過去よ、決して聲をあげるな、
お前は隱呪の箱のやうにただ暗く恐ろしくあれ。
[やぶちゃん注:「隱呪」不詳。「おんじゆ(おんじゅ)」と読んでいるか。これはもしかすると、呪術を用いて自分の姿を隠して見えなくする「隠形(いんぎょう)」の謂いか? 識者の御教授を乞うものである。]

