長い耳の亡靈 大手拓次
長い耳の亡靈
うこん色にひかる遊戲のなかに
追ひたてられた亡靈はつまづいてたふれる。
きらびやかな荊棘(いばら)の杖をついて
足のすわらない生活がせまつてくる。
くるしい、そしてつんぼの窓(まど)には
亡靈のうとい耳がひつかかつてゐる。
灰色のだらつとたれた長い耳は
あへぎあへぎ空想をはらんでゐる。
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長い耳の亡靈
うこん色にひかる遊戲のなかに
追ひたてられた亡靈はつまづいてたふれる。
きらびやかな荊棘(いばら)の杖をついて
足のすわらない生活がせまつてくる。
くるしい、そしてつんぼの窓(まど)には
亡靈のうとい耳がひつかかつてゐる。
灰色のだらつとたれた長い耳は
あへぎあへぎ空想をはらんでゐる。