泡立つ陰鬱 大手拓次
泡立つ陰鬱
女のかひなのやうに泡(あわ)だつてくる
むさぼり好(ず)きの陰鬱(いんうつ)よ、
あの黑(くろ)い いつもよくかしこまつてゐる小魚(こうを)が
空(そら)が絹(きぬ)をひいたやうにあまいので、
今日(けふ)は なだめやうもないほどむづかつてゐる。
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泡立つ陰鬱
女のかひなのやうに泡(あわ)だつてくる
むさぼり好(ず)きの陰鬱(いんうつ)よ、
あの黑(くろ)い いつもよくかしこまつてゐる小魚(こうを)が
空(そら)が絹(きぬ)をひいたやうにあまいので、
今日(けふ)は なだめやうもないほどむづかつてゐる。