(無題) 萩原朔太郎 (「Omega の瞳」初出形)
幼兒は眞實であり神は純一至高の感傷である。
死んでみたまへ死蠟の光る指先からお前の至純な靈が發散する、其時お前にほんとうに ONEGA
の靑白い感傷のひとみを見ることができる其れは汝の人格であつた。
[やぶちゃん注:『卓上噴水』第二集・大正四(一九一五)年四月刊に掲載。次に示す後の大正一二(一九二三)年七月新潮社刊の詩集「蝶を夢む」の掉尾に配された「散文詩 四篇」(『「月に吠える」前派の作品』という添書きを持つ)の三篇目「Omega の瞳」の初出形であるが、底本には標題部に『○』が打たれているだけであるので、無題と判断した。「死蠟」「ほんとう」はママ。]