Omega の瞳 萩原朔太郎
Omega の瞳
死んでみたまへ、屍蠟の光る指先から、お前の靈がよろよろとして昇發する。その時お前は、ほんたうにおめがの靑白い瞳(め)を見ることができる。それがお前の、ほんたうの人格であつた。
ひとが猫のやうに見える。
[やぶちゃん注:大正一二(一九二三)年七月新潮社刊の詩集「蝶を夢む」の掉尾に配された「散文詩 四篇」(『「月に吠える」前派の作品』という添書きを持つ)の三篇目。「おめが」の下線は底本では傍点「ヽ」。]
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