沢庵宗彭「鎌倉巡禮記」 37
拜報國寺開山佛乘禪師、題門曰漸入佳鏡、
認題門字入佳境 枯木囘岩裹古蹤
想見祖師行道日 其聲今聽意中鐘
[やぶちゃん注:以上を底本の訓点を参考にしながら、私なりに書き下しておく。
報國寺開山佛乘禪師を拜し、門に題して曰く、「漸入佳鏡」、
門に題するの字を認め 「佳境」に入る
枯木 囘岩 古蹤の裹(うち)
想見の祖師 行道(ぎやうだう)の日
其の聲 今 聽く 意中の鐘
「古蹤」「蹤」は足跡で、古の人の歩いた跡の意。但し、禅語では、古人の優れた行いの意があり、それも含めた謂いではあろう。実際の報国寺訪問の際のパートで注した如く、沢庵はこの寺に感銘していないと私は読む。さればこその「漸入佳鏡」の題字を詠んで、鐘の音のみによって触発される仮想の禅境をのみ夢想して詩を作したものと私は断ずるものである。]

