沢庵宗彭「鎌倉巡禮記」 34
入龜谷壽福寺拜千光國師於逍遙院、
照暗千光本一光 逍遙大宋止扶桑
請看黑漆崐崘耳 敬爲祖師燒作香
[やぶちゃん注:以上を底本の訓点を参考にしながら、私なりに書き下しておく。
龜谷(かめがやつ)壽福寺に入り、千光國師を逍遙院に拜す、
暗(やみ)を照らす 千光 本(もと) 一光
大宋を逍遙し 扶桑に止まる
請ふ 看よ 黑漆崐崘耳(こくしつこんろんじ)
敬す 祖師たり 燒けて香と作(な)る
底本では結句は「敬 祖師(と)爲(り) 燒 香を作る」〔( )は私が補った〕とでも読むか。私には意味不全なので、かく訓じた。大方の御批判を乞う。
「千光國師」は栄西。
「崐崘」は現在のベトナム・カンボジア地域にあった国名であるが、知られた寿福寺蔵の栄西の頂相を見ると、焼けて黒焦げになった如く真っ黒で、背が低く、巨頭にして耳が異様に長い。そうした異形のうちに、逆に仏教伝来の大陸の、往古の聖人の再来の風貌を読み取ったものか。これも大方の御批判を乞うものである。]

