咆える月暈 大手拓次
咆える月暈(つきかさ)
わたしは街(まち)にほえる、
ひとびとのくらいおくそこに。
ひややかな木(き)のこずゑをはなれ、
さまざまの呪ひの銃聲のながれる街のなかに、
瀲灔(れんえん)とたたへられた水(みづ)のやうに
わたしは手づくりの網(あみ)をまいて、
はるかなる死の慰安をほえてゐる。
[やぶちゃん注:「瀲灔」水の満ち溢れるさま。また、漣(さざなみ)が光り煌めくさま。「瀲灩」とも書く。]
« 鬼城句集 春之部 葱の花 | トップページ | (無題〔散文〕) 萩原朔太郎 »
咆える月暈(つきかさ)
わたしは街(まち)にほえる、
ひとびとのくらいおくそこに。
ひややかな木(き)のこずゑをはなれ、
さまざまの呪ひの銃聲のながれる街のなかに、
瀲灔(れんえん)とたたへられた水(みづ)のやうに
わたしは手づくりの網(あみ)をまいて、
はるかなる死の慰安をほえてゐる。
[やぶちゃん注:「瀲灔」水の満ち溢れるさま。また、漣(さざなみ)が光り煌めくさま。「瀲灩」とも書く。]