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2013/04/24

よれからむ帆 大手拓次

 よれからむ帆

 

ひとつは黄色い帆、

ひとつは赤い帆、

もうひとつはあをい帆だ。

その三つの帆はならんで、よれあひながら沖(おき)あひさしてすすむ。

それはとほく海のうへをゆくやうであるが、

じつはだんだん空のなかへまきあがつてゆくのだ。

うみ鳥(どり)のけたたましいさけびがそのあひだをとぶ。

これらの帆(ほ)ぬのは、

人間の皮をはいでこしらへたものだから、

どうしても、内側(うちがは)へまきこんできて、

おひての風を布(ぬの)いつぱいにはらまないのだ。

よれからむ生皮(いきがは)の帆布(ほぬの)は翕然(きふぜん)としてひとつの怪像となる。

 

[やぶちゃん注:四行目の「沖(おき)あひさしてすすむ」の部分、底本は「沖(おき)あひさしですすむ」でと格助詞が「て」ではなく、「で」の濁音ある(印字の汚れではなく、確かな植字「で」である)。「沖合指し」という特異な名詞形もあり得ない訳ではないが、ここは創元文庫版「大手拓次詩集」の表記を採用した。

「翕然」「翕(キュウ)」は聚(あつ)まるの意で、多くのものが一つに合う、一致する、集まるさま。]

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