11時間病院軟禁タイムライン 附 相棒夢
11:52 病院に入る(入館カード記載時刻)。
12:30 手術予定時間となるも音沙汰なし。
13:00 数少ない談話の中の一つ。
父「お前は太宰治をどう思う。」
僕「あまり好きじゃない。最初のカフェの女給は殺人説もある。」
父「そうなんだよ。小動の鼻でね。……鎌倉で、あいつは何度も心中しかけてるんだ。」
13:30 看護師来室し、脳外の生命に関わる急患の緊急手術が入ったのでオペは遅くなる由。
14:00 術式後のケアのために個室をナース・センターの傍のバスタブ・調理器附の最高級個室に移動(病院側都合に附、差額全額減額)。遅い昼のサンドウィッチとコーヒーを売店で買って食う。
14:10 執刀医が来て、急患の由、説明があり、5時か6時の由。明恵の「夢記」の訳にとりかかる。
17:50 父は禁煙と丸一日の空腹に耐え兼ね、飴を舐めたいというが禁ずる。
18:10 手術開始。手術前に移動。ここまでで「夢記」、6話分(B4に6枚)を訳す。「夢記」訳、続行。
19:30 待合室にいた(恐らく急患の家族)青年もいなくなり、一人。
20:00 手術センターから出てきた医師の一人と思しい人物が、奥の部屋で尺八の練習を始めるのが聴こえる。
切れ切れの病院の夜の尺八
20:10 手術終了し、執刀医から脊椎間狭窄三箇所の各個術式の成功と問題なき由の説明を受く。この時点で「夢記」は13話分(B4に14枚)の訳を終っていた。個室にて待っていて下さいとの由。
20:20 個室に戻る。「夢記」の13話の掉尾を仕上げる。久し振りにボールペンを握り続けたため、指が硬縮気味となり、ここのところリハビリに行っていない右腕首が軽く痛んだ。
20:40 麻酔から覚醒した父が戻る。看護師の言うことには素直に正確に従っているが、何度も「おしっこがしたい」と言うので、その都度、僕や看護師がカテーテルの話をするが、すぐ同じことを言うので辟易する(耳が遠いので大声で答えるから夜の病院には響くのも気になる)。最後には僕が尿カテの袋をサイドから外して掲げ、縷々説明するが、結局、別れ際に父は「ここはどこ?」と訊いてくる。「病院だよ」と答えつつも、やや呆れる(父は認知症も呆けもないので、これは、麻酔の余波である)。それでも「じゃあ、帰るよ」と声を掛けると、酸素マスクの下で「ありがとう」としっかり答えた。
20:52 病院を出る(入館カード記載時刻)。こんな時刻になるとは思っていなかったので薄着なれば、異様に寒い。
21:05 自宅着。家に入れてあるアリスを覗いた後、「相棒」の再放送録画の赤いカナリア(赤色テロ集団としては如何にも噴飯物の名称だ)の続編を妻と見つつ、遅い夕食を一緒に摂る。
12:30 パソコン開かず、疲労困憊して就寝。
熟睡後の夢。
……二つの家族(総計6名)全員が末期癌患者で、彼らがマンション一室で全員下着姿のまま一緒に共同生活するというブラック・コメディ。主人公は癌ステージ8(!)で健在という役で演じるは水谷豊、その甥という設定で僕が共演(!)し、一緒に並んで右手の人差し指を立て、「一つ!」とやっていた……
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