鬼城句集 春之部 椿
椿 椿咲く親王塚や畑の中
[やぶちゃん注:「親王塚」大阪府芦屋市翠ヶ丘町にある在原業平の父である阿保親王の古墳とされる親王塚のことか。マイケル氏の『マイケルの「芦屋と打出」』にある「阿保親王塚古墳」の叙述に『以前は畑のまん中にあったので、遠くから古墳全体の様子がうかがえた』らしい、とある。]
墓前
咲きかはりかはり八千歳の椿かな
[やぶちゃん注:底本では「かはりかはり」の後半は踊り字「〱」。「八千歳」は「やちよ」。]
石の上に椿並べて遊ぶ子よ
雨の中に落ちて重なる椿かな
一つ殘りて落ち盡したる椿かな