一言芳談 一四二
一四二
或人の云、後世者(ごせしや)は、したき事をとゞむるなり。心にしたき事はみな惡事なるがゆゑなり。
○したき事をとゞむるなり、寶雲經云、心相是大患之本也。不令是心得自在。
平泰時の歌に、世を海のあまの小舟(をぶね)の綱手繩(つなでなは) 心のひくに身をなまかせそ。
[やぶちゃん注:「寶雲經云、心相是大患之本也。不令是心得自在。」書き下す。
「寶雲經」に云はく、「心相(しんさう)は是れ、大患の本なり。是の心をして自在を得せしめず。」と。
「寶雲經」六世紀の南梁の扶南沙門曼陀羅仙僧伽婆羅(まんだらせんさんぎゃばら)訳述になる「仏説宝雲経」七巻。
「心相」心の姿。心の様。心のはたらくさま。
「平泰時」鎌倉幕府第三代執権北条泰時(寿永二(一一八三)年~仁治三(一二四二)年)。以下の和歌は不詳。識者の御教授を乞う。]

