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2013/04/30

曼陀羅を食ふ縞馬 大手拓次

 曼陀羅を食ふ縞馬

 

ゆきがふる ゆきがふる。

しろい雪がふる。

あをい雪がふる。

ひづめのおとがする、

樹をたたく啄木鳥(きつつき)のやうなおとがする。

天馬のやうにひらりとおりたつたのは

茶と金(きん)との縞馬である。

若草のやうにこころよく その鼻と耳とはそよいでゐる。

封じられた五音(いん)の丘(をか)にのぼり、

こゑもなく 空(くう)をかめば、

未知の曼陀羅はくづれ落ちようとする。

おそろしい縞馬め!

わたしの舌から、わたしの胸からは鬼火(あをび)がもえる。

ゆきがふる ゆきがふる。

赤(あか)と紫(むらさき)とのまだらの雪がふる。

 

[やぶちゃん注:「五音」は狭義には中国・日本の音楽の理論用語で音階や旋法の基本となる五つの音を指す。各音は低い方から順に宮・商・角・徴(ち)・羽と呼ばれ、基本型としては洋楽のドレミソラと同様の音程関係になる。「ごおん」とも読む。但し、広義には広く音声の調子・音色の意としても用いられる。ここで拓次は架空の、例えば古代ケルトの遺跡のようなイメージを飛ばして、神聖不可侵の楽の音(ね)の封じ込まれた丘を想起しているように思われる。]

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